少し前の『日本経済新聞』の記事に次のような内容のものがありました。
【ふるさと納税の非効率(大機小機)】
ふるさと納税制度を巡って、一部の自治体の返礼品が高額すぎることが問題になっている。魅力的な返礼品を用意できない都市部の自治体では、多くの住民が他の自治体にふるさと納税してしまうことで税収が大幅に減少し、行政サービスの維持がままならなくなっている。
実は、制度の導入当初からこうした事態を懸念する人はいた。海外の大学に在籍するある経済学者は「税収を得るための方法としてあまりにも分かりやすい間違い。(悪例として)教科書に載せるべきだ」と力説していた。ふるさと納税制度が「自治体によるレントシーキング(超過利潤獲得競争)を誘発し、社会的資源を浪費する典型的な政策」だからである。(『日本経済新聞』より抜粋)
そして、記事内では “ふるさと納税で国の税収が減る” 具体例として、次のようなケースがあげられています。
@ 自治体Aが自治体Bの住民から10万円の寄付を受けて
3万円の返礼品を贈る
A 自治体Bの住民は、自分の住む自治体Bに税を納める場合に比べて
3万円得をする
B 自治体Aの収入は、返礼品代を除いた金額7万円
C 自治体Bは本来得られたはずの10万円が得られないので大損
D そして、自治体Aと自治体Bを合計した税収は、結果といて
10万円から7万円に減っている

はじめにこの記事を読んだときに、少し引っ掛かるものがありました。
というのも、私の中では「 “ふるさと納税” は、“納税” ではなく “寄附” である」と理解していたからです。
寄附金に関しては税金が控除される(=寄附金の分が所得から差し引かれる)という「寄附金控除」の制度と、地方自治体を支援するシムテムが融合したものが「ふるさと納税」ではなかったでしょうか。
だとしたら、「(元々あるべきだった)税収が(返礼品の分だけ)減った」という考え方は少しおかしいような気もします。
例えば、「国民が保険に加入すると、税収が減る」と言っているようなものです。(減ってはいるのですが、制度として控除されただけです。)
とは言いつつも、ふるさと納税の制度が、最近 “非効率化” してきているのも事実だと思います。
今にして思えば、平成27年度の改正で、ふるさと納税(寄附金控除)の上限を2倍に増やした辺りの “読み” が浅かったようにも感じます。
かと言って、今さら2分の1に戻すと、国の信用がガタ落ちになってしまうことは間違いありません。
ふるさと納税について、来年度、どのような改正が行われるのか気になるところです。

posted by きうちよしかず at 15:46|
ふるさと納税とは